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「なぜMicrosoftはStartボタンを殺したか?」


Windows 8で最も議論を引き起こし批判されているポイントはデスクトップ画面でのタスクバーからスタートメニューを取り除き、新しいMetroのスタートスクリーンに一元化した点でしょう。
スタートメニューの有無に加え、Developer Previewまではタスクバー左端にスタートスクリーンを呼び出すWindowsアイコンが存在したのですが、こちらもConsumer Previewから取り除かれました。既存ユーザーの覚えた操作をバッサリ切り捨てるようなデザイン変更はなぜ行われたのでしょうか?
Core Experience Evolvedチームを率いるChaitanya Sareen氏がTechEdアムステルダム英PC PRO誌のインタビューに答えています。

「我々はWindows 7での操作に着目しました」とChaitanya Sareen氏はMicrosoftカスタマーエクスペリエンス向上プログラムにより収集された情報について触れた。
「我々がタスクバーを改良し素晴らしい(アプリの)ピン止め機能を搭載した時、人々はこのピンを熱狂的に歓迎しました。そしてその結果、スタートメニューの利用頻度は劇的に下落したのです。私たちの反応は "見てみろ、スタートメニューの利用率が下がってる、われわれはどうしたらいいんだ? どうやったらスタートメニューを復活させられる? 新しい目的や新しい力が必要じゃないか"というものでした」
「そして私は実際にそのデスクトップのユーザーとなり、ブラウザーエクスプローラーとそしてアプリは何でもかんでもピン留めしました。スタートメニューはそれほど開かなくなったのです。
もしあなたがスタートスクリーンを訪れれば、我々がお見せする一連の新しい体験を選ぶか、もしくはこれまで通りのデスクトップを選ぶこともでき、それは今まで通り高速に動きます。しかし、タスクバーを取り除くことはでません。」

Sareen氏は、人々がアプリケーションの起動にスタートメニューを並べ替えるよりもキーボードショートカットを利用している点も指摘しました。「Windowsキーと1を押すだけでIE(もしくはタスクバーの左端にpin留めしたアプリ)が立ち上がった状態になります。それはとても高速です」

だいぶ手短な説明で色々言葉足らずな印象はありますが、このインタビューでのSareen氏回答を見る限り、スタートボタンが無くなった一つの理由は、Windows 7以降で搭載されたタスクバーのピン留め機能の方がスタートメニューより便利じゃない、という点であったようです。
Windows Vista以前のユーザーには全くピンとこないかもしれませんが、Windows 7をある程度使うようになると、ああそうかもね、という実感があるかもしれません。
実際、私もタスクバーとジャンプリストを多用するようになってから、スタートメニューへのアクセスは激減したと感じていますし、Windows 8 Release PreviewをインストールしたPCを業務と開発に投入している現在も、最初の驚きと戸惑いを乗り越えた後は特に支障なく利用できています(細かい長所短所はそれぞれありますが)。

とはいえ、非常にロジカルなこの説明に納得したところで、今のデザインのままのWindows 8が発売されれば多くのユーザーが新しい操作に適応しなくてはならず、既存のユーザーが覚えた操作、という既得権益を切り捨てた今回のデザインが議論の嵐を巻き起こすことは間違いないでしょう。
本当にこのままのデザインで発売されるのか、Windowsプラットフォームの浮沈にこの変更がどれほど影響してくるのかなど、今後も目が離せないポイントとなりそうです。

Source:
Why Microsoft killed the Windows Start button | News | PC Pro
http://www.pcpro.co.uk/news/375550/why-microsoft-killed-the-windows-start-button