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源流を失いつつあるマスコミ

コデラさんが面白い視点を提供している。(PSE法の話はさておき)
ITmedia+D PSE問題報道の舞台裏に思う
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0603/20/news007.html

 報道というのは、必ず現場、すなわち一次ソースにあたるというのが基本である。しかしその一次ソースが、彼らには探せない。だから二次ソースである筆者に、「何がどうなってるんですか?」と聞きに来るというわけなのである。

そう、確かに、いわゆるマスコミと呼ばれる旧体制の報道組織は、常に知識や情報の一次ソースをしっかり握っているからこそ、信頼できる報道ができる、という実績を残してきたのだと思う。
言い換えれば、ニュースの源流を握ってきたが故に、さまざまな情報を的確に人々に伝えてきた。
それは政府や要人、企業であったり、その道の識者であったり、各種のイベント中継や海外のニュースソースからのリレーであったり、いずれにしても、情報源から人々に情報を手渡す事が報道機関・マスコミの役目だったと言えるだろう。
一次ソースというのは、ほんとに重要で、それが欠けると、なんとなく伝聞的な素人臭い情報伝達になってしまう。逆に言えば、いかに要点をまとめわかりやすく伝えてくれるか、誰も知らない情報を流す事が出来るか、という一次ソースの質が報道の質として問われてきたわけだ。(自分もAllAboutJapanのガイド時代は、一次ソースなし、ネットのみの取材の限界をつくづく感じたりした経験がある)
そこへ、Internetが登場し、人々が様々なニュースソースを手に入れ、直接情報を取り出すことが可能となった。ただ、それだけならば、まだ彼らマスコミも体力にモノを言わせて調査を行ったり、識者やキーマンを見つけ出すことでなんとか追随してくることが出来たのだと思う。
そして、今なにが起きてるか、というと、情報源・震源地そのものがネット上に移動してしまいつつあるわけだ。果たして旧体制のマスコミの方々はそれについてくることができるのか? 少なくともコデラさんの記事を読んでいると、現状では厳しいという印象を感じてしまう。
同じように、梅田さんウェブ進化論発売以来、あちこちで引っ張りだこになっているのも、マスコミの識者捜し、という同じ出来事の別の側面ではないだろうか? ネットの世界の動きを掴んでいるAlpha Bloggerに対して、マスコミが識者として目を付けるのは当然の流れだ。例の「あちら側」「こちら側」表現もこのあたりの図式にはまりやすく彼らの心に響いたのではないか?
もし、この変化に対応することが出来なければ、マスコミの旧体制化は加速していくだろう。しかし、現実には、よりやわらかな変化が起きるはずだ。単なるBlogやSNSの先鋭化だけでない、次にくる新しい情報伝達の波は、どのような形をとるだろうか?